人は3つのタイプに分けられる。積極的に見る人、示されれば見る人、見ようとしない人だ。
レオナルド・ダ・ヴィンチ
良い商品なのに、撮影意図も考えもなく撮られた商品写真をEコマースサイトやSNSに掲載していると、
相手の気持ちに届かないばかりか行動(クリックや購買)の妨げにさえなります。
この状況を放置しておくとコストばかりが膨らんでいく一方です。
商品撮影に携わっている人・商品写真を扱う人
このような疑問、感じていませんか?
・ECサイトでなかなか商品が売れない
・商品が映える撮影をどうしたらいいか?
・撮り方がばらばらで一貫性がない
・ブランディングを考慮した商品サイトにしたい
商品を撮る人に向けて
・【見込み客の心の動き】
・【目が離されない商品写真でやるべきこと】
・【背景の重要性】
⇒ 実際の画像サンプルなど実例を添えて解説
商品そのものには問題がないのに、思い通りに売れないのなら商品写真に問題がある可能性があります。
撮影方法やツールを再チェックしましょう。
プロローグ:商品写真をお見合い写真と比べてみよう
お見合い写真を見てからの心の動きになぞり、商品写真を見てから気持ちが深まって → 購買行動につながる流れをイメージしてみましょう。
お見合い写真と商品写真の【心の動き】
お見合い写真を開いた時の心の動きを見てみましょう
- 不快でない、悪くない
- 好印象、いい感じ
- もっとよく見てみよう
- この人との未来や生活はどんな風になるだろうか
- この人に会ってみよう
商品写真が目に飛び込んできたときの心の動き
- 不快でない、悪くない
- 印象が良い、いい感じ
- もっとよく見てみよう
- これを所有して使っている生活や未来はどんなものだろうか
- この商品を手に入れよう
この商品、良いかも!
ほんの数秒間の心の動き
見込み客が商品写真を初めて見て、商品が手もとにある様子をイメージするに至るまでの、 ほんの数秒間の心の動きはこんな感じ…
- 不快でない、不明瞭でない、悪くない
- 印象が良い、いい感じ
購入を検討している人が注目するポイントはそれぞれ個性があるので、 まず ・誤解を生まない ・不明瞭さがない …を、まずは念頭に、正確に商品を伝えることを心がけます。
例:お料理を口にした人が「美味しい」と感じることが理想です。しかしそれ以前に「まずそう」や「違和感」がないことが大前提です。
「もっとよく見てみよう」となるまでのステップ
行動につながる心理フロー(流れ)
商品写真を見た瞬間からほんの数秒に起きている反応はこんな流れ
ちらっと見て1秒から数秒間で最初の2ステップをクリアしなければ、 「もっとよく見てみよう」には至らず、そのページや投稿から離脱してしまいます。
『商品写真でもっと売る』ための撮影チェック5項目
前置きが長すぎましたか? お待たせしました!
より長く画像を見てもらえるために確実にしたいのはこの5つです。
ここをクリアして、イメージされ、次の行動に進む気持ちが生じるのです。 毎回の撮影でぜひチェックしてください。
商品(形・色・大きさ)が正確に再現されている
商品が正確に伝わる撮影になっているでしょうか?
- 形:直線はまっすぐ、丸い形は丸く伝わっている
- 色:デザインで決められた色や、美味しそうな色が再現されている
- 特徴:機能や便利な機能や形状、柔らかさや硬さ、温かさや冷たさが伝わる
商品の質感も伝わっているでしょうか?
ユーザーが実際に商品を使う際の手触りや肌触り、
商品がユーザーに与えるさまざまな情報が写真でも伝わるのが理想です。
そのためには商品を触れる、操作するなどして一旦思い描くこと。
そしてそれを写真に再現する手順を心がけてみてください。商品の良さがもっと伝わりますよ。
そのために参考になる記事がこちらです。
商品撮影で最も重視して、撮影を楽しく、しかも楽にしてくれていた方法論です。是非役立ててください!
輪郭が確保され背景がすっきりしている
背景が商品の邪魔をしない
背景が雑然としていたり、商品と重なったり、存在感が強すぎれば商品が目立たず、見る人が何に着目すべきか分からない写真になってしまいます。 背景の強い模様や具体物が商品に掛かっていると、商品の形状を正確に伝えることは難しくなってしまいます。
余白の美
「余白の美」という言葉があります。 余白は歌や演奏の息継ぎのように、「間(ま)」を作って、安らぎや緊張感を与えるので、主役を一層引き立たせる力を持っています。
影が商品を邪魔していない
影はくせ者ながら味方に付けると立体感や奥行きを伝える名わき役です。
商品を生かすも台無しにするのも影
商品が落とす影も、商品自体に落ちる影も立体感や奥行き、商品の形状を表すのに大変有効です。 しかし濃すぎる影はそれ自体存在感があり、商品の存在感を邪魔します。 また輪郭が強く硬い影も同じく商品が正確に伝わるのを邪魔します。 商品が自らに落とす強い影も同様です。
強い影は存在感もあるので商品の正確さを邪魔してしまいます。 「影は優しく・柔らかく」を基本に、効果的に利用しましょう。
適切なカメラアングルで撮影されている
カメラアングルはユーザー視点を意識
商品の大切な部分や形状が不適切な撮影アングルによって隠れたり誤解を生んではなりません。 商品を使っている(フードなら食べている)時のユーザーの視点と、あまりにかけ離れているカメラアングルでは共感を得ることはできません。
構図が良い
画面の構図が良いと主題と画面全体ともに視線が行きわたるので離脱や再検索されません。
説明カット/標準カットは日の丸、シチュエーション(状況)カットは三分割法が最も有効
製品を正確に、多面を伝えるカットに余白の美や意味を持たせるのは逆効果です。画面の中央にすっきり配置しましょう。
一方で集合写真や製品が持つ世界観やイメージを伝えるには視線を画面に写された空間に誘(いざな)う必要があるので三分割法が有効です。
均等に画面を9分割する線や交点に商品や商品の魅力となるポイントを置くことで商品がある空間に視線を誘い、
商品に触れたり、使っている気持ちを持たせることが可能になります。
本ブログ『フォトノオト』では構図の中でもっともパワフルな「三分割法」について解説しています。
商品写真を見る人が画像から目を離さなくなるためにも記事をご覧になってみて下さい。
商品を相手に伝えるために有効なツール【背景】
画角や被写界深度を調整できるカメラ&レンズ 、撮影視点を維持したり向きを微調整する三脚 、正確な色を再現して柔らかい影・効果的な影を作る照明機材、これらもさることながら最も効果的に、最も早く改善につながるのが背景です。
背景による効果
効果の根拠
- 商品を浮き彫りにして目立たせる
- 形や色が誤解されず正確に伝わる
- 商品の魅力や雰囲気を演出できる
商品を浮き彫りにして目立たせる
立体感や形、全体像を正確に伝えるには、まず背景との「分離」を念頭に置きます。
例として…
- 商品を浮き彫りにするには商品とは異なる濃度の背景
- 商品を相対的に手前に近づけて見せるには、寒色系の背景
- 商品を含む写真全体を目立たせるには暖色系の背景
背景と分離させて撮影しておくと、あとでフォトショップで切り抜く際にも便利です。
商品の形や色が正確に伝わる
淡い背景や無彩色の背景で色の正確さを確保
商品の色合いが正確に伝わることを念頭に置きます。
商品の魅力や雰囲気を演出できる
商品のイメージに近い空間を演出
その商品のオリジナリティーや長所・美点を伝えるには、 することも大切です。 ソフトで優しい商品イメージならパステルカラーなどの発色が弱い色彩の背景が適切です。
使われている状況を想起させる
例えば釣り具なら、釣りの現場を思い出すような背景が良いでしょう。 釣り上げた魚と一緒に写すのもありですね。
使う人が共感を持てる雰囲気を醸し出す
キッチン用品やサプリメントなど衛生面や健康面を満たす商品は明るめの清潔感がある背景が適しています。
トーン・アンド・マナーでブランドイメージを伝える
商品そのものに劣らず売る側に対する共感や信頼、憧れを持ってもらうのに、 背景による統一感や雰囲気を意識しての背景選びは重要になります。 雰囲気や空間を演出するにはテクスチャーを持つ背景を使い、目的に合わせて、 例えば和風やアウトドア、温かい、またはクールな雰囲気に合せて背景を選びます。
例えば人物が被写体で、どんな景色や風景、建物やインテリア、装飾を背に写されているかによって、その人物の人柄まで伝わってきます。商品も同様で、個人や企業のマナーが伝わります。
白・グレーなどの無彩色や淡い色(彩度が低い)の背景を選ぶとそれが視覚の基準になり商品の色が正確に伝わります。
理想的な背景について
商品が正確に、かつ魅力的に伝わるには背景が重要です。
背景を選ぶ際に気を付けることはこのようになります。
- 汚れに強い
- しわになりにくく、生じたしわは解消できる
- 半光沢なので影が薄く、ぼやけやすい
- 様々な種類、色、大きさから選べる
- 本物と見まごう質感
- セッティングが簡単
- 保管しやすい
撮影時の取り回しをまで慮するとこのような背景が理想です。
背景について商品撮影で考えるべき事
背景の大きさとレンズ選び
レンズ選びでは形んど商品の見え方が優先されますが以下のことにも留意します。
- 背景の大きさは商品や人物の二回り以上大きく
- 小さめの背景の場合、背景が欠けないために望遠気味のレンズを選ぶ
背景を支柱などで立ち上げると、奥に行くほど背景が小さくなってて画面から掛けてしまうことを回避できます。
形状や発色の留意点
商品の形や発色について撮影の際に気を付けたいことはこんな感じです。
- 商品の迫力を出すには広角レンズ(背景の見切れ・欠けに留意)で形状を強調
- フード撮影では清潔感と発色を第一に考えて明るめの照明、露出に留意する
- 撮影後に商品を抜き出すことも念頭に、商品と異なる背景の色や明度を考える
- 強い色の背景は商品へ反射して色被(かぶ)りを起こしてしまうことに注意
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まとめ
お見合最初に写真を取り上げて商品写真を見たときの心の動きと行動に着目してお見合い写真を例に挙げて、
画像から即座に目を離されないために何が大切かを解説しました。
併せて即効性が高い背景の有用さをお伝えしました。
奥行きや立体感の表現に役立つ明暗の使い方や
照明を使いこなすための光の減衰の基本については下記リンク先で確認してみて下さい。