・色の機能を分からないで撮影すると思い通りの結果にならず不満だ
・撮影結果が色彩に左右されるのでコントロールできないと不安です
・撮る前に被写体と周囲の色の見極めが出来ないのはもどかしい
このような不安や違和感が解消できるといいと思いませんか?
・色彩は人の眼にどう働くのか
・どんな色が手前に、どんな色が奥に見えるのだろう
・色の使い道で遠近や奥行きがコントロールされている具体例を見たい
・意図した通りの配色ができているだろうか
\このようなことを記事を読んで明確にしましょう/
・人間の眼の構造も見ながら色が放つ光の屈折率の違いが視覚に遠近感や奥行きを感じさせる仕組み
・実際のサンプル画像を見ながら納得し実践で生かせるように解説
この記事では、色彩によって眼が遠近を感じる原理や、どんな色彩で画面に空間が成り立つか?、具体例を見ながら理解できます。実践での色彩コントロールが可能になれば、画像を見る人が遠近感や奥行きを感じて、まるで画面の中いるように感じることも可能です。
色の屈折率の違いで画面の奥行きや遠近感を感じるメカニズム
暖色と寒色
色の寒暖
✓世の中のほとんどの色は、無彩色、中性色を除いて寒色と暖色に分けることが出来ます。
- 「熱そう」とか「温かそう」と感じる色は暖色(赤系グループ)
- 「冷たそう」とか「寒々しい」と感じる色は寒色(青系グループ)
- どちらにも属さない黄緑、緑、紫、無彩色は中性色と呼ばれています。
屈折率の違いが生む遠近感や奥行き感
結像する位置の違い
暖色系(赤色系グループ)は屈折率が小さいので網膜付近で結像する
寒色系(青系グループ)は屈折率(屈折角度)が大きいので網膜から離れた位置で結像する
結像が網膜に近いほど迫って来るように見えるので色彩の寒暖の違いで遠くに見えたり近くに迫って見えるのです。
眼内の構造
見えたものは角膜と水晶体を通り網膜に向かって結像します。
色彩を持った光の屈折と結像位置
プリズムでわかる色ごとの屈折の傾向
色の波長の違いで水晶体と硝子体を通るときの屈折率の違いが生じるのはこのような原理です。
透明な物質を斜めに通り抜けるとき、寒色系の短い波長は屈折が大きく、暖色系の長い波長は屈折が小さい。
…これを覚えておくだけでもいろいろと応用できます。
自身の眼でも確かめよう
左右の画像を比較しましょう
同じ明るさの背景で青と赤の物体でどちらが迫って見えますか?
✓背景は左右同じ明度のグレーです。
グレーの物体、青い背景と赤い背景でどちらが迫って見える?
✓左右の楕円は同じ明度です
実際の景色の中ではどうでしょうか?
パッと目に飛び込んできたサマーハウスはありますか?
後ろ姿の赤いコートと奥の青いバンとで遠近感を出してます。
撮影での活用方法
暖色を目に飛び込ませ寒色で奥を作る
同じ画面に屈折率の低い暖色と屈折率の高い寒色を配置して遠/近を強調して奥行きや空間を生んでいます。
奥に寒色を配置して奥行きや空間を感じさせる
撮影対象が密集していても青色のジャージを着た人がいたので、
窮屈にもならずに奥行きを感じさせています。
寒色のエプロンを選んで主題に引き立てる
エプロンに寒色系を選ぶことでおにぎりが目だつように意図しました。
背景を差し替えて商品を引き立たせる
暖色の背景と寒色の背景
商品とコピーが目だつように選ばれた背景は左右どちらでしょうか?
双方とも弱い色(淡い色合い)の背景ですが同じシルバーの商品の見え方が違います。
右の薄青の背景の画像が実際の広告に使われたのは商品が僅かに手前に迫りくる効果を見込んでのことです。
(おまけ)着る服装や衣装の色彩を考えて会場で目立つ
披露宴やパーティの会場、登壇の際に役立ちます。
「目立ちたい」、「控えめにしたい」。会場でどのように見られたいですか? 持ち物や同伴者との組み合わせによって、服装の色使いも考えたいですね。気を付けたいのは強すぎる色や濃い色。お顔が綺麗に見えないです。明るい無彩色や淡い色は表情を明るく引き立たせます。
まとめ
遠近を感じる仕組みをまとめると以下のようになります。
- 色を持った光が眼の水晶体を通過する際に屈折して眼内で像を結ぶ
- 色の屈折率での違いで網膜付近のどこで像を結ぶかが変わる
- その位置によって手前に迫って見えたり奥に遠ざかって見える
眼の構造と併せて仕組みを理解されたでしょうか?
色が人の眼にどう作用するかがわかり、心理への影響も併せて研究していけば、
色を使うことへの苦手意識が解消して色使いが楽しくなります。
色彩心理の世界―心を元気にする色のはなし
末永 蒼生 (著)
色の秘密 色彩学入門 (文春文庫)
野村 順一 (著)