・夕方になると刻々と空の色やが変化して写真を撮るのが大変
・いったい空の色はなぜ変化するのか?
・色づいた空を見たまま通りの色に写したい
こんな疑問がなくなり、
空の写真撮影をコントロールできるといいですよね?
印象派の巨匠、クロード・モネはこんな風につぶやいています。
「時間によって風景は変わるんだ。いま見ているこの景色だけがすべてじゃないんだ。ああ、なんでそんな単純なことに気づかなかったんだろう。
なんでそんな当たり前のことがこんなに、こんなにうれしいんだ」。
・空の色が変化する原理、空の魅力と撮影ノウハウの解説
空の写真の真価がわかります。
変化する色の仕組み、空の画像の魅力とその根拠がわかるからです。
そして空の撮影力が深まり空の写真の活用範囲が広がります。
変化する空の色彩の仕組み
✓空の色が自然に変化する原理を探ってその仕組みを覚えましょう
太陽の傾きと赤くなる空
空が赤らむ理由は、太陽が傾くほど大気長い距離を通るので、
- 短い波長の青い光は散乱
- 長い波長の赤色光のみ通り抜ける
…からなのです。
大気中で起こる散乱と通過
大気中の物質をプリズムに見立てて、色による屈折の違いを見てみましょう。
太陽光が大気の水蒸気や塵にぶつかる際、波長の違いで透過や散乱が起きています。
朝の赤らんだ空 / 昼の青い青い空
朝の赤らんだ空と日中の青い空の原理も明らかにしていきましょう。
朝の太陽色
空の色彩は太陽の傾きで決まる
太陽が上がる明け方も、大気に対して傾いているので、夕方と同様に太陽光の赤い成分のみ大気を通過します。
通過する大気層の距離が長くなるので青い光は散乱されきってしまい、逆に散乱されにくい赤やオレンジの色が強調されて人間の目に届くためです。
日中の空はなぜ青い?
Q&A
青い光は強く【散乱】される
日中、太陽光の赤い成分は散乱しないので、我々の眼には映らず、地球上の別の場所で夕焼けや朝焼けになっています。
光には、青い光や赤い光があります。一般の光は、いくつもの光が組み合わさっているもので、それぞれの光はそれぞれの波長を持っています。この光を波長の成分で分解したものを「スペクトル」といいますが、青い光は波長が短く、赤い光は波長が長くなっています。空が青いのは、波長が短いほど「散乱」は強くなるため、青い光が赤い光よりずっと強く散乱されるからなのです。(もっと波長の短い紫が見えないのは人間の目が紫を感じにくいためです。)朝と夕方の空が赤くなるのは、太陽の光が突き抜ける大気層の距離と道筋に関係があります。
空の写真の魅力
なぜ空の写真は人の心を打つのか?その根拠を明らかにして行きましょう。
見上げると呼吸が楽になる
人がリ空を見るときは、顔は水平か上に向いています。
本物の空を仰ぐ顔の角度は下向きに比べ呼吸が楽になるため、実際の経験の記憶から人は空の写真を見ると呼吸が楽になり気分もリラックスするのです。
赤い空の魅力
赤い色が持つ、人の心理への影響
赤からは太陽や火の熱く活発なイメージが浮かびます。エネルギーを感じさせるアクティブな色です。人が生きるために必要なものと多く結びついている赤は、他のどの色よりも強い刺激があります。気分を高揚させる働きから元気を与えてくれたりスポーツで闘争心を駆り立ててくれます。
青空の魅力
青い色の持つ、人の心理への影響
青からは空や海、水といった広大な自然のイメージが浮かびます。爽やかな空、生命の源の海、体に不可欠な水と接する機会が多い色です。好感度が高く、世界的に見ても一番人気が高い色の系統です。好む人が圧倒的に多く嫌う人が少ないというのも特徴となっています。
時代背景
Q&A
地球上は国境や様々なボーダーラインで区切られていますが空にはそれがありませんね。空が与える共有の感覚は人に癒しと安らぎを与えてくれます。
四角に切り取られる空の閉そく感
学生時代、「空が四角い」と嘆いた友人がいました。乱立するビルによって切り取られた空がそう言わせたのでしょう。癒される広い空を求める、解放されたい気持ちがあるのだと感じました。
色彩を持つ空の写真は常に求められる
乱開発が進む時代背景や先史時代からの人の心理的な側面からも美しい空の写真が人に与える影響は小さくないと言えるでしょう。また空の青色と赤色にはそれぞれこのような意味合いが含まれていることもありそうです。
Netflixの『マルコ・ポーロ』を観るとチンギスハンの時代のモンゴルでは空の青そのものを神格化していますね。
『青の世界』 /『 命の象徴:赤』
青 「大いなる青」の世界-
そこは、この世の生が失われ、永遠の魂が生まれ出るところ。喪失と再生を体験する人が青に心惹かれる理由は、この青が醸し出す海のイメージとかかわっているのかもしれない。赤
世界各地の古代文明の、特に死者を埋葬した西域に、赤が施される例が多いのはなぜなのか?
日の色、血の色である赤、つまり命の象徴である赤と、死の恐怖を超えようとした古代人の祈りが結びついたのではないだろうか。
色彩心理の世界 末永蒼生
*参考にした書籍を紹介しておきます>
空の写真をおしゃれに伝えるための撮影ノウハウ
空のスケール感を出すには
空だけを切り取ってしまうと空の広がりやスケールの大きさが伝わりません。それは比べる対象が無いからです。
空のスケール感
~スコットランドのインバネス
どちらが広い空の魅力が伝わってくるでしょうか?
空の色と明るさを思い通りに写す設定
思い通りの色合いには
見たままの赤さやピンク色を再現するにはオート・ホワイトバランスをデイライト(太陽マーク)に設定しておきカメラに補正させないことで防げます。
さらに色を強調するなら、「くもり」(雲マーク)や「日陰」にして撮影すると良いでしょう。
明るく写ってしまうオート撮影への対処
うっとりする薄暮の薄暗い雰囲気を出したいとき露出オートのままでは、
薄暮の時間帯特有の味わいある暗さをカメラは補ってしまい画面を明るく淡く自動補正するので、
マニュアル露出に変更するか、露出補正であらかじめアンダー(-)にしておけば薄暗い雰囲気は維持されます。
広告に使われる空の写真
その魅力に触れると空の写真や空を含む画像が広告に用いられるのは想像に難くありません。
ここではその一例に触れてみましょう。
”That’s a sign: hit the road”
上記の空の写真の魅力がを生かしたBMWの広告です。
カラッと晴れた夏空の中に、おなじみのマークを見つけるBMWのブランディング広告。
「That’s a sign: hit the road.」(あれは出発のサイン/それは道しるべだ)と
気持ちを遥か大空に向けて購買意欲も掻き立てています。
まとめ
太陽光(白色)を構成するそれぞれの光に波長の違いがあり、屈折率が異なるため、太陽の傾きによって大気を通る距離が変化することから空の色が変化することがわかりました。
このコラムに関連して一眼レフを理解するコラムと光の仕組みを詳しく深堀する雑誌を紹介します。