初めてレンズ交換式カメラを、あるいは固定レンズ式カメラ手にした時、焦点距離の概念に躓き(つまずき)ませんでしたか? それとも、すでにカメラを使いこなしているあなたでも、焦点距離と画角の関係を完全に理解できているでしょうか?
レンズの焦点距離は、写真の表現力と深み、魅力に大きく影響します。しかし、その要素がしっかりと理解されていなければ、カメラとレンズの可能性、そしてあなたの個性、感性を十分に引き出すことは難しいでしょう。
この記事では、「焦点距離」の基本的な理解から、それが「レンズ」「カメラ」「画角」にどのように関連するのかを詳しく解説します。さらに、「焦点距離」を比較することで、その違いが写真にどのように影響するのか、具体的な画像を用いて示します。これにより、焦点距離の理解を深め、よりよい写真を撮るためのヒントを得られます。
写真をもっと楽しみたい方、もっと上手くなりたい方、そしてプロを目指している方に、この記事が一助となり、フォトライフがさらに充実したものとなることを願っています。さあ、一緒に焦点距離を確実に会得しましょう!
本記事では、レンズ交換式カメラの焦点距離と画角の理解を深め、写真撮影のスキル向上に役立つ知識をひも解きます。
レンズと焦点距離の基礎
焦点距離とレンズの選択は、写真撮影の結果に大きく影響を与えます。ここでは、それぞれの基礎知識とその関連性について詳しく解説します。
焦点距離ってなに?
焦点距離は、レンズの光学的な特性を表す重要な要素で、撮影の結果を左右する大きな要素です。ここでは、焦点距離の基本的な概念と、それが写真のどのような部分に影響を与えるのかを詳しく解説します。
焦点距離とは、カメラのレンズと撮像素子(フィルムやデジタルセンサー)との距離を指す専門用語です。この値はミリメートル(mm)で表され、レンズが物体を捉え、フィルムやセンサーに像を結ぶのにどの程度離れているかを示します。
焦点距離とレンズの種類
さまざまな焦点距離のレンズが存在しますが、それぞれが特定の撮影シーンや被写体に最適化されています。このセクションでは、一般的なレンズの種類とそれぞれの特性、そして各種類に適した撮影シーンを紹介します。さらに、各シチュエーションに最適なレンズも紹介しますので、レンズ選びの参考にしてください
広角/望遠レンズ
焦点距離が短いレンズ(例:18mm)は広角レンズと呼ばれ、視野が広く、被写体を広範囲にわたって捉えることができます。これは風景写真や建築物の撮影に適しています。
一方、焦点距離が長いレンズ(例:200mm)は望遠レンズと呼ばれ、狭い視野を持ちますが、遠くの被写体をクローズアップして撮影することができます。これは野生生物やスポーツの撮影によく使われます。
標準レンズは人間が両眼ではっきり見える視野角に近い画角を持つ、焦点距離が50㎜前後のレンズです。以下の記事に詳しく解説されています。
ズームレンズ/単焦点レンズ
さらに、一つのレンズで複数の焦点距離をカバーできるレンズをズームレンズと呼びます。ズームレンズは多用途で便利ですが、一定の焦点距離を持つ焦点レンズと比較して画質が劣る場合があります。
カメラと焦点距離の関連性
カメラのセンサーサイズ(フレームサイズ)は焦点距離に大きく影響します。ここではそれらの関連性と、どのように写真の結果に影響を与えるかについて詳しく見ていきましょう。
カメラのセンサーサイズと焦点距離
センサーサイズは焦点距離の効果を大きく左右します。大きなセンサーは視野を広くし、小さなセンサーは視野を狭くします。このセクションでは、それぞれのセンサーサイズが焦点距離にどのような影響を与えるかを詳しく説明します。
上の二つの図を見るとカメラに入ってくる視界を大きくとらえるのは大きなセンサーで、
狭くとらえるのは小さなセンサーであるとお分かりになるでしょうか。
『35mm換算』
「35mm換算」という言葉は、カメラやレンズのスペックを示す際によく使われます。これは、特定のカメラレンズの焦点距離をフルフレーム(35mmフィルム)カメラにおける焦点距離に換算したものを指します。
例えば、あるレンズが「25mm(35mm換算で50mm)」と表記されている場合、そのレンズは35mmフィルムカメラで使った場合と同じ視野を提供する50mmレンズと同等の視野を提供するということを意味します。
このように35mm換算を使う理由は、異なるセンサーサイズを持つカメラ間で焦点距離を比較する際の基準を提供するためです。センサーサイズが異なると、同じ焦点距離のレンズでも視野が変わってきます。35mmフィルム(またはフルフレームセンサー)は一般的な基準として広く受け入れられており、その伝統的な視野を基準に各レンズの焦点距離を比較することができます。
カメラのフレーム(フルフレームとクロップセンサー)と焦点距離
(ここで推奨カメラを紹介)
フレームタイプもまた焦点距離の効果に大きな影響を与えます。フルフレーム / クロップセンサー / APS / マイクロフォーサーズのカメラでは、同じレンズでも異なる結果が得られます。ここではそれぞれのフレームと焦点距離の関係を詳しく説明し、各タイプの撮影に最適なカメラも紹介します。
▶以下にセンサーのフレームタイプを3種類に大別して紹介します。
フルフレーム(フルサイズ)
- フィルムと同じサイズなのでフィルムカメラと同じ視野角で撮影できレンズも流用可能
- センサーが広い分、より高精細な画像を得られる、その反面1カット毎のデータ量は大きくなる傾向
- 広角レンズ、ズームレンズの広角側で、より広い視野を捉えられる
⇒フルサイズセンサー搭載の機種を紹介します。
Nikon同等機種(クリックで開く)
フルフレーム:クロップ可能なタイプ
- センサーはフルフレームで、センサーの中央の一部をクロップ(囲い)する
- APS-Cやマイクロフォーサーズの利点も享受可能
- ファインダーに囲い線や半透明のフレームが表示され撮影範囲を示す
⇒クロップ機能搭載のフルサイズセンサー搭載機種を紹介します。
同等機種(クリックで開く)
APS-Cやマイクロフォーサーズ
- センサーはフルサイズ(フルフレーム)より一回り小さい(上図参照)
- 同じ焦点距離のレンズを使用してもフルサイズセンサーより狭い視野で被写体を撮れる
- フルサイズカメラと同じ望遠レンズを用いても、高価な高倍率のレンズと同様の効果を得られる
望遠側で特にメリットがあるAPS-Cセンサー搭載機種の紹介
その他 APS-Cセンサー搭載ミラーレスカメラ(クリックで開く)
APS-Cセンサー搭載一眼レフカメラ(クリックで開く)
画角と焦点距離の関連性
画角と焦点距離は密接に関連しており、写真のフレーミングと構図を大きく左右します。このセクションでは、この重要な関連性を詳細に説明します。
画角とは何か
画角は、レンズがその光の屈折の性質を生かしてキャプチャするシーン被写界の「範囲」を表します。ここでは、その概念と、それがどのように写真撮影に影響を与えるかを詳しく説明します
先にも出しましたがフルフレーム(フルサイズ)センサーにおける焦点距離と画角の相関です。
この図で、「望遠 / 広角」とだけでなく全体の傾向をつかんでください。
焦点距離が画角にどう影響するか
焦点距離と画角は直接的な関係があります。焦点距離が長いほど画角は狭く、焦点距離が短いほど画角は広くなります。このセクションでは、焦点距離が画角に与える影響と、それが写真の最終的な見た目にどのように影響を与えるかを詳しく解説します。
焦点距離に決定される画角が構成する構図について、または構図を考慮した焦点距離の選択には是非この記事をご一覧ください
焦点距離ごとの画角を知る
ご理解のとおり焦点距離により画角が異なりますが、ではレンズの焦点距離、カメラのセンサーやクロップサイズが分かれば画角が明らかになることをここではお伝えします。
傾向の整理
- 焦点距離が短い(長い)ほど画角は大きく(狭く)なる
- 視野を広く撮る時は焦点距離が短い広角(ワイド)レンズやズームレンズのワイド側を選ぶ
計算サイトの紹介
カメラ、レンズ、画角を計算する方法は三角定理を活用して計算しますが、計算サイト『カメラの画角計算』を活用すると素早く数値を得られます。
焦点距離の比較:異なる焦点距離での画像の違い
写真撮影において焦点距離は画像の外観に大きな影響を及ぼします。このセクションでは、焦点距離の異なるレンズで撮影した画像の比較を通じて、その違いを理解しましょう。
短焦点レンズと長焦点レンズの比較
短焦点レンズと長焦点レンズでは、撮影する画像の見た目が大きく異なります。具体的な違いと各レンズの特性について詳しく解説します。
短焦点レンズ(広角 / ワイドレンズ)
短焦点レンズ(広角レンズ)は、その名の通り広い範囲を撮影することができるレンズです。そのため、風景写真や大勢の々を撮影する際には非常に有効です。また、短焦点レンズは物体の距離感を強調します。つまり、近くの物体は非常に近く、遠くの物体は非常に遠く感じます。これは、広い視野を持つための副作用です。
短焦点レンズ(広角 / ワイドレンズ)は迫力を出せ、斜線が強調されるので動きを感じる効果さえも得られます。しかし、例えば顔のアップで用いると不思議なほど鼻が大きくなったり耳が見えなくなります。セレブの撮影ではおおむね好まれないです。
長焦点レンズ(望遠レンズ)
一方、長焦点レンズ(望遠レンズ)は狭い範囲を撮影することができますが、遠くの物体をより詳細に捉えることができます。そのため、野生動物の撮影やスポーツイベントの撮影など、遠くの被写体をクローズアップして撮影したい場合に使用されます。長焦点レンズは被写体と背景との間に「圧縮」効果を作り出します。これにより、遠くの背景が被写体に近づいて見えるのです。
ここで大切なのは、これらのレンズが「良い」または「悪い」というものではないということです。それぞれが持つ特性を理解し、それぞれのシチュエーションで最も効果的に使用することが重要です。
参考画像による焦点距離の比較・把握
感覚的に焦点距離と画角のイメージをつかむために、異なる焦点距離で撮影した作例を提示します
(焦点距離は35mm換算値:クリックで拡大)。
ヒントになるかもしれませんが筆者は以下の2点を基本に焦点距離を選択しています。
- 人は普段から意識を使って望遠視、広い視野を感じようと状況によって視覚を瞬時に使い分ける
- 「テーブル上の料理などは椅子に座った視点と距離が自然」など実際に見る位置を考慮
焦点距離の選び方と活用方法
焦点距離を理解し、適切に選択することで写真の表現力を大いに広げることができます。このセクションでは、どのように焦点距離を選び、どのように活用すべきかについて説明します。
ズームレンズを選ぶにも、焦点距離の知識を生かして、自身が撮りたい被写体との距離や見え方を念頭にズーム範囲(Xmm~Ymmなど)を決めてください。
レンズ選びの基準
焦点距離は被写体や撮影シーンによって適切に選ばれるべきです。ここでは、様々なシチュエーションにおける最適な焦点距離の選び方について具体的に説明して、特定の焦点距離が得意とするシーンや被写体に合わせた推奨レンズを紹介します
撮影場所に制限がある
・ステージや競技フィールド、飛翔体、大勢で一人を撮る、被写体と距離がある ⇒望遠レンズ
・建築、インテリア(室内)、車両内部、被写体に近すぎる、など被写体に近い ⇒広角レンズ
撮影場所が比較的自由
・商品撮影やポートレイトは被写体の見え方を重視する(下図参照)
・風景や街路、群衆、建築では重なりと自然なサイズ感に留意
・山岳や天体は視野(撮影範囲)を基準にレンズ(の焦点距離)を決める
撮影後のトリミングの有効性
狙う画角(視野)に対してそれぞれの焦点距離のレンズを揃えて撮影に臨むには相当大きなカメラバッグや運搬用の車両が必要になります。そのためズームレンズやフォトショップによるトリミングが有効な手段になります。このようなステップでクレバーに撮影して下さい。
- ズームレンズやひとまわりワイド(広角より)なレンズの採大きめの画角で撮影
- フォトショップで垂直・水平、動きを出すための回転を念頭にトリミング
トリミング後も狙い通りのボケ味が保たれるためには、あらかじめ解放(f値が小さい絞り)気味で撮っておくことも、念頭にしてください。
フォトショップ作業を動画で紹介
ここではイタリアでのイベントの写真のトリミング作業をご覧入れます。
カメラを縦に構えて撮影された画像をフォトショップのトリミング作業で傾け、かつ画角を狭めてライダーの表情と気迫を強調しました。
Tips: 指を使う焦点距離(=撮影レンズ)の決定
こんな工夫もあります。大まかな焦点距離の決定で試して下さい。
レンズ交換を迅速に行える効果があります。
- 指をイメージセンサー大に丸める(フルサイズなら24㎜x36㎜)
- 被写体が写る範囲を決める
- 指と自分の眼の距離を(定規や反対側の手指をあてがうなど)計測(この距離がレンズの焦点距離です)する
- この計測値の焦点距離のレンズを選択
よくある質問:Q&A
まとめ & 次のステップ
この記事を通じて焦点距離の理解を深め、それがどのようにあなたの写真作りに影響するのかを理解することが目標でした。最終セクションでは、今後のスキル向上のためのアドバイスを共有します。レンズの焦点距離を適切に選ぶことで、思い描いた通りの表現や効果を実現することが可能となります。
焦点距離理解の重要性
焦点距離を理解し、適切に活用することで、写真撮影のスピードとクオリティーは劇的に向上します。本記事のまとめに、『焦点距離理解の重要性』として被写界深度などの追加項目を加えて焦点距離の知識と応用の重要性を再確認します。
被写界深度の管理
焦点距離は被写界深度(シャープに写る範囲)にも大きく影響します。短い焦点距離のレンズ(広角レンズ)は、前景から背景まで全てが明瞭に写ります。一方、長い焦点距離のレンズ(望遠レンズ)では、特定のポイントだけにピントを合わせ、背景をぼかすことが可能です。これにより、被写体を強調したり、視覚的な深みを出したりすることができます。
クリエイティブな選択:
焦点距離を理解すると、自分の芸術的意図に最も適したレンズを選ぶことができます。ポートレートであれば、被写体を切り取りつつ背景をぼかすために中望遠レンズが好ましいかもしれません。風景写真では、広範囲をカバーするために広角レンズが必要になるかもしれません。その選択は、あなたがどのようなストーリーを伝えたいか、どのような視覚的効果を作り出したいかによります。
撮影状況への対応
撮影状況に応じて焦点距離を選ぶことで、最適な写真を迅速に撮ることが可能になります。例えば、動く被写体を追いかけるスポーツ写真では、被写体をクローズアップしつつ距離を保つために長い焦点距離(望遠レンズ)が有用です。一方、狭いスペースで撮影する場合は、広角レンズが適しています。
フォトスキル向上へのアドバイス
写真のスキル向上は、絶えず学び、試し続けることから始まります。ここでは、更なるスキルアップを目指すあなたへのアドバイスとして教育的な製品を解説する記事へのリンクを共有します。解説されているようなリソースを活用して、あなたのフォトライフのクオリティーをさらに高め、進めていきましょう。
また、先にも書きましたがトリミングだけでなくカメラとレンズの組み合わせによる効果を強調するために明暗、コントラスト、色彩の調整が必要になる場面があり、それをフォトショップで仕上げると、感性の表現や気持ちの伝達が一層可能になるでしょう。
‣無料の試用期間があるので、一通り触れてみてはいかがでしょうか?