自分の眼で遠近感を感じて撮影を行っても、その写真を見る人に同じ遠近感を感じてもらうのは必ずしも可能ではありません。なぜ遠近感や空間、奥行きを感じたのかを考えるのと同時に、何が遠近感を感じさるのかを理解することによって写真自体が遠近感を感じさせて、見る人を画面の世界に引き込めるのです。
カメラは単眼なので写真は両眼で見たときのようには必ずしもなりません。
写真の伝える力・効果を向上させたい人・画像の視覚効果に興味がある人
このような疑問を感じていませんか?
・遠近感があると画面にどんな効果が出るの?
・人間の眼ははどんな写真に遠近感を感じるのですか?
・遠近感や奥行きを感じてもらい画面の世界に引き込みたい
・画面に遠近感を出す手法のまとめ
・遠近感がある画面の意義や遠近感による効果
・実践につながる遠近感の技法をサンプル画像で直感的に理解できるように構成
遠近感の大切さ・効果
カメラは単眼なので視差がない

人間や多くの動物の眼のように左右の視差が、カメラにはありません。
視差があるからこそ人は遠近感や奥行きを感じることが出来るのです。
ではカメラでは遠近感を伝えることは出来ないのでしょうか?
視差がなくてもカメラやスマホで遠近感を出すには
視差による立体視が不可能でも、遠近感に影響を与える要素が結構あります。
遠近感を画面に与える要素
- 明暗差による遠近感
- 色彩による遠近感
- 線の構成によって出せる遠近感
- 重なりや大小・ボケによって出せる遠近感
- 濃淡による遠近感

実際の撮影では、これらの要素を取り入れることで遠近感が感じられる画像になります。
写真に遠近感を与える要素
明暗差による遠近感
人間は視界に明暗が同居していると遠近感を感じます。
複数の視覚心理によりますが、これを知ることで写真に遠近感を与えることが可能です。
以下の記事で詳しく解説しています。

色彩による遠近感
色が放つ光の屈折率の違いが視覚に遠近感や奥行きを感じさせます。
人間の眼の構造も見ながら、写真、絵画、デザインなど、視覚に対するあらゆる表現で画面に遠近感や奥行きを与えられることを目ざして以下の記事で解説しています。

そのほか視覚心理に影響する遠近感
ここからは実際に効果が反映している画像と注釈によって解説していきます。
- 線の構成による遠近感
- 重なりや大小、ボケによる遠近感
- 濃淡による遠近感
線の構成による遠近感
複数の線が1点に集約していくように構成すると遠近感が生じます
(なお集約する点は「消失点」と呼ばれます)。

重なりや大小、ボケによる遠近感
実際は同じ大きさのドアの大きさが異なって見えることで遠近感が生じています。
奥と手前の壁が重なっていることも遠近感の要因です。

左右の木の葉がぼけていることで空間を感じるほどに遠近感があります。

コントラストの違いによる遠近感
撮影地点と距離があるほど、塵や水分を含む大気によって光が拡散するのでコントラストが低下します。
この遠近法は「空気遠近」とも呼ばます。

まとめ
遠近感を感じる代表的な要因をリストアップして解説しました。
遠近感は画像を見る者に、自分も画面の空間にいるような一体感や親近感を与えます。
さて遠近感を総合するとこのような状況で画面に表現されます。
本記事に挙げたところの、
- 遠近感を出せる要素がすでにレンズを向ける先にある
だけでなく - レンズの選択によって遠近感が強調される
- ライティングによって遠近感が生じる
などの人為的な作業によっても可能です。
つきましては、どうぞフォトノオトの他の記事も参考になさって下さい。